行きたい美術館が決まったら、次は鑑賞に向けた準備です。「えっ、鑑賞なんてチケット買って入るだけじゃないの?」という声もありますが、ちょっと準備するだけで鑑賞が大きく違ってきます。
●ホームページで事前にチェック 常識的かもしれませんが、出掛ける前に行く先の美術館の情報をホームページで事前にチェックしておきましょう。 アクセス・開館時間・入館料のほか、臨時閉館(開館)情報、入館料割引情報(市民鑑賞日、無料観覧日を設けている美術館もあります)、鑑賞ガイド・講演等のイベント情報、禁止事項など多くの情報が載っています。 多くの美術館では、展示されている作品のリスト(出品リスト)もホームページに載せています。これを見れば作品の大よそは理解できます。お目当ての作品がある場合にはその作品が展示中か(もしくは貸出中など展示されていないか)チェックしておきましょう(リストが無い際にはメール・電話で照会すれば回答してもらえます)。 主要作品の解説をホームページに載せている美術館もあります。多くは現地に展示されている解説と同じですが、稀に現地に展示されている解説より細かい情報が載っている場合もあります。落ち着いた環境で事前に読んでおくと、鑑賞時の理解も深まります。もし意味が分からない単語(「新古典主義」「フォービズム」とか)に出くわした際には、検索すれば意味を把握できます(私はartscapeさんのアートワードをよく使います)。 (新古典主義といえばアングル。『アンジェリカを救うルッジェーロ』ルーブル美術館) (画像はウィキペディアから ) また、いくつかの美術館ではSNSやブログ等で美術館員が情報を発信していることもあります。公式の情報とは違った非公式ならではのリラックスした雰囲気で見所を紹介していたりします。そちらを読んで作品を楽しむことも美術鑑賞の一興です。 ●持ち物は? 「美術鑑賞に持ち物は必要?」とお思いかもしれませんが、私は美術館へ行く際、以下の物を持参しています。 ① メモ帳 江戸時代の朝鮮通信使・雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)の言葉だったかと記憶していますが「聞いた言葉は三十分で忘れる。書いた言葉は千年残る。」という言葉を聞いたことがあります。観ていて感想や疑問をあれこれ思いついても、ちょっと経てば忘れがちです。ビジネスでも全く同じですが、美術鑑賞でも題名や感想などをメモしておきましょう。鑑賞時にもらう出品リスト、メモ帳、手帳、果てまたレシートの裏でもどこでもいいです。私は必ず手帳を持参し、ダイヤリーの部分に日記も兼ねて書いています。自分しか読まないので汚い字でもOKです。 なお、筆記用具は不要です。多くの美術館で、美術品保護のため筆記用具の持ち込みを禁じ、自前の鉛筆を用意していますので、美術館で鉛筆を借りましょう。美術品の保護と筆記用具代の節約の一石二鳥です(笑) ② 単眼鏡 「神は細部に宿る。」とも言います。細密画や古美術など、作品によっては近づいて観れないためその良さを十分に鑑賞できない場合もあります。そんな場合に備え、より細かく観たい際には単眼鏡を持参しましょう。私は国産V社の8×20という単眼鏡を愛用しています。 ③ カメラ 日本の多くの美術館では撮影が禁止されていますが、「フラッシュを使わなければ撮影OK」な美術館もあります。ルールの範囲内で、OKでしたら気になった絵を撮って後日振り返りましょう。なお、「メモも撮影もスマホで十分では?」という見方もありますが、そもそも「展示室内で携帯電話は使用禁止」という美術館もあります。メモにはメモ帳、撮影にはカメラを用意しておくのが無難です。 余談ですが、欧米の美術館では、写真撮影には寛容な一方、携帯電話の着信音には厳しい印象を受けます。 ④ A4判クリアファイル 出品リスト、チラシなど、美術館では頒布物をいただくことがあります。美しい頒布物を傷つけず持ち帰り、後日も楽しめるよう、A4判クリアファイルを持参しています。堅くでカバンに入らない際は、丸く折って収納できるソフトなファイルもあります。 ●服装は? たまに着物を着て美術鑑賞している人を見かけます。着物割引を導入している美術館もありますが、私は普段着派です。近所のスーパーへお買い物に行くのと同レベル(笑)。「美術鑑賞は普段着で気楽に見てナンボ」だと思っています。 ただ、普段着でも着物でも、音の出る履き物は、他の鑑賞者の妨げになるので避けたほうが無難です。 ●チケットはどこで買う? チケットは入館時に買うのが基本ですが、街の金券ショップで安いチケットが出回っていることもあります。金券ショップのチケット、「安く手に入れることができる」「入館時に買う手間を省ける」ほか「定価(当日券)との差額によってその美術館(展覧会)の人気度(=混雑度)を知る」こともできます。 ただ、金券ショップのチケットでは「偽造の可能性」と「予定が変わって行かなかった際には紙くずになる」というリスクがありますので、その点は覚悟して購入しましょう。私は、当日券より2~3割安い程度なら(上記のリスクを踏まえ)金券ショップを使わず、当日券で入ります。なお、金券ショップのチケットでは期間に制限がある場合もありますので注意しましょう。 さて、準備が整ったら、いよいよ美術館へ足を運んでみましょう。
by zouchan6
| 2016-02-09 05:48
| 美術鑑賞 art watching
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