「Frida is」も途中ですが、鹿児島県指宿市にある岩崎美術館を訪れました。
(自ら撮影) 黒田清輝、藤島武二、梅原龍三郎、東郷青児、海老原喜之助、和田英作、有島生馬、吉井淳二など鹿児島県出身の画家の作品を中心に、鹿児島ゆかりの作品(藤田嗣治「桜島」など)、幕末志士の書(西郷隆盛など)、古薩摩焼などを展示しています。 黒田清輝、ブラマンクはじめ巨匠の絵も多くあるなか、最も印象に残ったのが藤島武二の「空」です。 (絵葉書より) 1本の樹が、大きく渦巻く雲と対峙するように立っています。その風景は、烈しい大自然に立ち向かう人間を見ているかのようです。 色や形といった造形の妙も見事で、抽象画の趣すら感じさせます。 藤島武二は江戸時代である慶応3年、薩摩藩士の家に生まれました。 藤島武二の絵、岩崎美術館に展示されていた「アマゾン」 (絵葉書より) をはじめ以前採りあげた「静」 (ウィキペディアより) 蝶 (ウィキペディアより) 女の横顔 (ウィキペディアより) 黒扇 (ウィキペディアより) 耕到天 (ウィキペディアより) などあり、様々なモチーフに挑んでいます。 描き方も多様です。 この「空」からも、近代日本の洋画壇の黎明期にして高い画力を伺えます。 藤島武二の画業の偉大さを存分に感じさせる1枚です。 岩崎美術館で印象に残った他の作品を紹介します。 ・東郷青児「樹下小憩」 (絵葉書より) 新宿の「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」に名を残す東郷青児です。 ・東郷青児 (ウィキペディアより) 「小憩」というにはアクティブな動きが感じられますが、2人の女性の動きと東郷の流麗かつ清明な描き方がマッチしています。東郷ならではの独特な世界が展開されています。 ・海老原喜之助「蝶と騎士」 (絵葉書より) シュールレアリステックな構図と色遣いに、一度見たら忘れられないほどの強烈さを感じます。 ・藤田嗣治「桜島」 (絵葉書より) 鹿児島と言えば桜島。その桜島を描いたフジタの小品です。小品ながらも、草木の繊細な線と桜島の描き方の正確さに、フジタならではの良さを感じさせます。 ・桜島 (自ら撮影) ・伊達孝太郎「開聞岳」 (絵葉書より) 薩摩半島の南端に位置し、岩崎美術館にも近い標高924mの火山です。 標高は高くないものの、どの角度から見ても線対称で均整の取れた姿は美しく「薩摩富士」と呼ばれています。 (ウィキペディアより) (自ら撮影) 撮影はNGでしたが、岩崎美術館には他にも多くの絵、幕末志士の書(西郷隆盛など)、古薩摩焼、パプア・ニューギニアの民族美術などを展示しています。 建物は、東京体育館を設計した槇文彦の設計です。 (自ら撮影) 別館(工芸館)とは地下通路でつながっています。 (自ら撮影) 「近代日本の礎を築いた鹿児島」にふさわしい近代さを表わし、印象的でした。 ちなみに、正面の「十」は、薩摩藩を治めた島津家の家紋「丸十」から意匠したのかな、と察しました。 (ウィキペディアより) 薩摩半島の南端にあって、小さいながらも、見応えのある岩崎美術館でした。
by zouchan6
| 2016-08-02 05:22
| 美術鑑賞 art watching
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Comments(4)
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伊達 正代
at 2020-09-07 11:41
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初めまして。
洋画家伊達孝太郎の孫の妻です。 貴方様のブログを夫が拝見し、岩崎美術館に、祖父の「開聞岳」があるのを知りました。 ネット上で知るきっかけを得、有難く思っております。 宮崎県立美術館、鹿児島市立美術館他に、作品があるのは知っていましたが、岩崎美術館に作品があるとは、存知ませんでした。 夫と3年程前に、岩崎美術館を訪れ、作品と対面致しました。 夫は、とても感動しておりました。 この7月で退職致しましたので、少し、時間的ゆとりも得、岩崎美術館へ、作品葉書を求めました。 開聞岳との出会いを感謝申し上げます。
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zouchan6 at 2020-09-07 14:09
伊達正代様
こちらこそ、初めまして。 コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。 伊達孝太郎さんのおつながりの方からコメントを頂戴し、大変恐縮です。 開聞岳のお膝元とあって、岩崎美術館には開聞岳を描いた作品が数点ありました。伊達孝太郎さんは存じていませんでしたが、伊達孝太郎さんの「開聞岳」は数点の中でもとりわけ美しく、絵葉書を衝動で買い求めました。 霞みながらも端正に描かれる開聞岳、静かな波打ちの正確な筆致、遠近の深さをさり気なく伝える岩礁の巧みな配置、山海を赤く染める陽光と大気の描き方。 僭越ながら、絵としての素晴しさが多く込められています。「写真や実際を超えた、開聞岳の絵画ならではの素晴しさ」を実感します。あらためて「いい絵を見、いい絵葉書を買った」ことを再認識しました。 ご主人様にとって、岩崎美術館でご対面された「開聞岳」は、絵自体の素晴しさとあわせ、ご祖父様とご対面されているかのような親しみ・懐かしさをも覚えられたのではないでしょうか。 私も、コメントを頂くまで、伊達孝太郎さんのことを深くは存じませんでした。こちら(https://yuagariart.com/uag/miyazaki24/)の肖像画も、鉛筆だけかと思いますが、凄く上手いですよね。明治期に渡米していたと知り、驚きます。 コロナもあって中々機会を得ませんが、九州の美術館を訪れた際には、伊達孝太郎さんの作品を鑑賞することを楽しみにしたいと思います。 コメントありがとうございました。
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小菅
at 2022-05-01 19:11
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初めまして。
私は伊達孝太郎さんについて調べております。 と申しますのも。伊達孝太郎さんの描いた「法然上人の肖像画」(京都知恩院所蔵)。その肖像画をご依頼したのが小橋麟瑞住職です。私はその分院の檀家です。現在、そのご子息が住職を務めております。 その、素晴らしい出来。知恩院でも法然上人の御影として認知される事になりました。現住職は伊達孝太郎さんに深く感謝し、墓前にご報告をしたいと願っております。 この、ブログがきっかけで伊達正代さんの書き込みに触れたことに感謝いたします。 zouchan6さん、ありがとうございます。
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zouchan6 at 2022-05-03 06:09
小菅様
こちらこそ、初めまして。 コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。 貴重なコメントを頂戴し、大変恐縮です。 伊達孝太郎さん、主に九州で活動されていたと聞きましたが、知恩院の「法然上人の肖像画」まで描かれていたとは知らず、驚きました。 知恩院で拝見する機会あれば、観てみたいですね。 コメントありがとうございました。
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